ゼネレエタ開発前夜

制作現場は浪費の繰り返し‼

wordpressの使用に関わらず、ウェブサイト制作の現場は、常に時間と技術と資金を浪費する大きな渦のようなものです。
他の業種も往々にしてそうかもしれませんが、、、まぁそれはおいといて。

この大きな渦は業界内全域に渡っており、現場のクリエイター陣に不毛な繰り返し作業を強いています。
鰤尾屋もその渦の中で、貴重な寿命と苦労して得た技術を浪費し続けるだけの存在でした。
どんな業種であれ、(渦に巻かれる)生き方そのものが社会人というものである、という自己暗示までかけて。
しかし、小さな泥船に乗った鰤尾屋は40歳でその渦に逆らい始めます。
40歳という年は、成人から20年、還暦まで20年の折り返し地点です。

大きな渦へのささいな抵抗

まず、鰤尾屋は経験してきた数ある案件の中でも比較的に多い共通点をまとめ、それらを平均化した汎用的なベーステーマを用意し、案件ごとに合わせるための多少の改変で済むようにする、という策を打ち出しました。これ自体、特に目新しいものではありませんが。

しかし、いざそのベーステーマを用意しようとなると、いくつもの障害があることに気が付きます。
そもそも、そのベーステーマを制作するという作業は、その時々の案件に直接関係ありませんので、誰も制作費を出してはくれません。
制作費ありきで仕事をしている身としてはここが非常に厄介なのです。
また、日々渦に巻かれて作業しているのに、そんな金にならないものを作る“時間”を確保することの難しいこと。

出来ない理由を並べてばかりでは、この大きな渦に逆らうことなど出来ません。
鰤尾屋は浪費され続ける中で、寝る間、休む間を惜しんで、ひとつのベーステーマを完成させました。

汎用的な失敗作

ベーステーマを制作するにあたり、平均化が重要な課題になりました。
すべての案件をひとつのベーステーマでカバーするのは不可能だという認識はちゃんとありました。
そんな中でも、比較的に反復数の多い部分を洗い出したはずでしたが、これは誤算でした。

― 同じような案件のはずなのに、ディレクターが違うだけでワイヤーフレームがまったく違うものになる ―

苦労して制作したベーステーマが勘違い甚だしい大失敗作であると気付いたのは実に早い段階、実用化し始めた矢先でした。
たまたま、当時かなり懇意にしていただいていたディレクターとは別のディレクターのチームにも編成されることになったのですが、そのチームで、苦労して作ったベーステーマが全く使い物にならなかったのです。

ベーステーマの設計自体が甘かったといえばそれまでですが、なにが悪かったのか。
オーソドックスなスタイルながらも案件ごとに印象がガラッと変わる。
基本的なHTML構造はほとんど変わらないのに、素晴らしいデザインを連発する第一線のデザイナーでもあった先輩ディレクター。
ぱっと見は特に奇抜なこともせず、よく見かけるパターンに落ち着こうとしている印象ながら、
基本的なHTML構造を一切理解できていないウェブサイト制作未経験の後輩ディレクター。

鰤尾屋は大事なことを見落としていました。
世の中のディレクターが全員、HTMLの構造や、レスポンシブとはなんたるか、などを理解できているとは限らないという事実。

ディレクション業務には対人スキル、交渉術などをはじめとする様々なスキルが必要になります。
後輩ディレクターも秀でた部分があったからこそ、ディレクションのプロとして採用されたのですから。

冷静に考えれば想定できたことなのですが、実用化し、その事実に直面するまで気が付かず、、、
当時は非常にショックを受けました。

鰤尾屋は、ディレクターの知識量によるところの偏重を乗り越えねばなりません。
後輩ディレクターの描いたワイヤーフレームはそれはそれはなんというか酷いものでしたが、
そんな後輩ディレクターでも、プロとして採用されるに至る秀でた部分があったのです。

先輩ディレクターのレベルなら、ゼネレヱタを利用すれば、仕事をかなり簡略化できるでしょう。
多忙な日々を少しでも効率よく過ごしていただければという願いを込めています。
後輩ディレクターなら、デザイナーやコーダーからクレームが飛びまくるような、
とんでもないワイヤーフレームを描かずに済みます。
ゼネレヱタを利用すれば、構造化がきちんと完了しているワイヤーが簡単に組めるのですから、
他の業務にリソースを割くことが可能になります。
いわゆるディレクション業務に専念することが可能になります。
個人的には、HTMLなどの勉強に当てていただきたいところですが。

初心に戻って根本的に見つめ直す

ここで折れてしまっては、渦に多少なりとも逆らってしまった反動で一気に沈んでしまいます。
そこで、気を取り直し、ウェブサイト制作の根本から見つめ直しました。

ウェブサイト制作の大まかな流れは、以下のような感じです。
これはつまりディレクターが行う一連の流れ、進行管理の概要です。

  1. 案件ごとに運用時の戦略を練り、ニーズに見合ったサイト設計をする
  2. 設計に基づいてワイヤーフレームを制作したのち、クライアントと共有しながらブラッシュアップを行う
  3. 完成したワイヤーフレームを基にデザイナーがデザインを描く
  4. サイト設計を基にプログラマーが機能実装をするのもこの時期
  5. デザインを基に、プログラマー(コーダー)がデザインをCSSに落とし込む
  6. 出来上がったものをテスト用サーバーにアップし、表示確認、動作確認などの検証を行う
  7. テストアップの検証結果に基づき、クライアントからの追加依頼に対応する
  8. 本番環境にアップ、納品し、最終の微調整後、ローンチ

これ以降、運用面のサポートやバナー制作などの継続的な業務が始まる場合もありますが、ウェブサイト制作自体は終わりです。
請求上は「初期制作」などと表現されるケースが多いです。

どんなディレクターであれ、どんな制作チームであれ、どんな制作ツールを使っていても、この流れはまず変わらないでしょう。
ウェブサイト制作をする会社やフリーランサーは星の数ほどあれど、みんな同じことをしているのです。

汎用的なテーマを作るだけではダメだと気付く

さらに冷静に、過去の経験を思い出す時間、制作現場のあらゆる状況を想定する時間を設け、
そこで気付いたことがあります。

クライアントも千差万別だということ。

汎用性の高い、カスタマイザーの充実したテーマはすでに存在します。
本当に自由度が高く、そのテーマといくつかのプラグインだけで大抵のサイトは制作できてしまいます。

しかし、管理画面にすべて設定項目が並んでおり、カスタマイザーも然り。クライアントに丸見えです。

「wordpressをインストールして、このテーマを入れて、管理画面で設定するだけで簡単にできるんだろう?
 “制作した”なんて言えない代物なんだから、もっと安くなるはずだ」

と言われかねません。
実際にこれを言ってのけたクライアントと遭遇したことがあります。
その時は生活が困窮していたので仕事と割り切って受けましたが、精神的な負担はかなりのものでした。
このような認識を持つクライアントには、デザイン費だ、設計費だ、調整費だと正当性を主張しても通りません。

「お前らはプロで、こんな作業ぐらい朝飯前なんだろうから、ちゃちゃっとやってくれよ」
(つまり、管理画面から設定を変更するだけだろう、サルでもできるわ)
という認識のクライアントが少なからず存在する中、多機能なテーマを使うのは危険な賭けでもあります。

初心に戻った結果、カスタマイザーがめちゃくちゃ充実した汎用性の高いテーマを作ってもダメなことが分かりました。
世界に無数にある優れたテーマ群にケンカを売るようなものですし、仮に、ダウンロード数などで勝てたとしてもまったく喜べません。
「ほらみろ、思った通りだ、簡単に作れるんじゃないか」
という腐った認識のクライアントを増やすだけです。
※多機能な素晴らしいテーマをディスるつもりは決してありません。
それはそれで需要があるのですから。

さらに、ウェブサイト制作の流れはみんな一緒だということも再認識できました。

・ひとつのテーマを徹底的に作りこむという考え方は危険。
・みんなやってることは一緒。

この二つのキーポイントを基に、辿り着いたのが、「案件ごとにテーマを生成してしまおう」でした。